求人媒体に頼らない。
What
自社採用インフラとは、求人媒体への広告出稿に頼らず、自社のSNS・note・口コミ・人的ネットワークを通じて応募者を集める採用の仕組みだ。飲食業界では求人媒体への依存度が高い傾向があるが、広告費に対する採用コストの高騰が続いており、自社採用力の構築が経営課題になっている。
Principle
採用の本質は、会社の熱量を外に出し続けることだ。求人票に書いてある条件で人は動かない。経営者の考え方・会社のビジョン・現場の雰囲気が伝わって初めて「ここで働きたい」という動機が生まれる。SNS・note・HPを通じた継続的な情報発信は、採用広告ではなく採用インフラだ。
From the Field
2024年、飲食店専門の求人サイトに100万円払って広告を出した。応募者は2名。2名とも面接にすら来なかった。俺は100万円をドブに捨てた。
一方、2025年、馴染みの店に飲みに行った。久しぶりに会う奴がいた。俺は熱く仕事の話をした。そいつは社員として仲間になった。
100万円の広告より、一晩の会話の方が強かった。採用は熱量だ。お金で買えるものじゃない。だから今は、発信し続けることで「バルタンで働きたい」と思う人間が自然と集まる構造を作ることに投資している。
育てた人間が街に出ていく。
What
飲食店における人材育成とは、スタッフが仕事の技術だけでなく、経営・判断・責任の視点を持てるように育てることだ。技術の習得は最低限の前提であり、その先に「この人間にこの店を任せられる」という信頼を積み上げるプロセスが育成の本質になる。
Principle
人材育成において最も重要なのは、熱意を持って接し続けることだ。技術は教えられる。しかし仕事への姿勢・判断力・責任感は、経営者がどれだけ本気で向き合うかで変わる。育てた人間が独立・転職・成長していくことは、損失ではなく成果だ。バルタンを経て街に出ていく人間が増えることが、会社の評判と採用力を長期的に高める。
From the Field
バルタン本店で3ヶ月だけ勉強させてほしいと言って辞めて、今自分の店をやっている奴がいる。もともとアルバイトだった奴が、独立して今ではエキニシや街の方で飲食店会社をやっている奴もいる。その瞬間が一番嬉しい。
逆に、熱意を持って接せなかった時期もあった。2016年、バルタン本店のオープン前で既存3店舗があったのに、社員は俺含めて3人という状況があった。育て方を間違えて、辞められたことが原因だ。あの経験で学んだのは、人が辞めるのは環境ではなく、経営者の姿勢だということだ。
育てた人間が街に出ていくことを怖がらない。それが人が集まる会社になる唯一の方法だと思っている。
なんとなくの給与を終わらせる。
What
等級制度とは、スタッフの役割・スキル・責任範囲を段階的に定義し、評価と給与を紐づける仕組みだ。飲食店では「なんとなくこの人の給料を上げる」という属人的な評価が横行しやすく、不公平感が離職の原因になりやすい。等級制度の整備は、公平な評価と人材の長期定着を同時に実現するための組織インフラだ。
Principle
等級制度設計の核心は、評価軸と報酬の透明性だ。「何ができれば次のステージに進めるか」が全スタッフに見えている状態を作ることで、成長の方向性が明確になり、評価への納得感が生まれる。バルタンではG1〜G7の7段階で役割・責任・報酬を定義し、AIを活用して自社の実態に合わせた制度を設計している。
From the Field
飲食店あるあるで、なんとなくこいつの給料を上げる、が続いていた。11年経営してきて、現状に飽きた。今でもいい。でももっと先が見たくなった。2025年、ギアを上げた。
そのとき、評価軸とその先の報酬が公平になっていないとダメだと思って制度を作った。これもAIを使って、自社に合ったものを設計した。専門会社に頼んだらかなり高い。でも自分でAIと対話しながら作れば、自社の文化と実態に合ったものができる。外注より精度が高いとすら思っている。
制度はまだ整備中だ。完璧なものを待っていたら永遠に始まらない。走りながら直す。
会社と現場をつなぐ存在。
What
バルタンにおける店長とは、店舗の売上・人・現場のすべてに責任を持ち、会社の方針を現場で実現する責任者だ。単なる営業責任者ではない。売上・品質・人材・空気・方向性を整え、現場を継続的に安定運営する「会社と現場をつなぐ存在」である。
Principle
店長の役割は5つだ。①売上を作る(結果責任)②人を育てる(人材育成責任)③現場を安定させる(運営責任)④会社の方針を浸透させる(組織浸透責任)⑤次の責任者を育てる(未来責任)。この5つが揃って初めて店長と呼べる。行動原則は一つ——「受け止めて、整理し、方向を変えて前に進める」。店長像はその会社のフェーズによって変わる。今のバルタンはまだ成長途中だから、この基準だ。
From the Field
2025年11月、バルタン本店の店長を替えた。もともとかなり高い売上だったのが、月800万アップした。店長だけの力ではない。でもこの事実は重い。
店長が変わると、店が変わる。空気が変わる。スタッフの動き方が変わる。売上はその結果だ。店長論を整備しているのは、「誰が店長になっても同じ基準で動ける」状態を作るためだ。属人性に頼った経営は、その人間が抜けた瞬間に崩れる。
何よりも結果がないとついてこない。理念や定義は、結果が出て初めて意味を持つ。
変化を嫌がる人間と向き合う。
What
組織変革とは、会社のフェーズが変わるタイミングで、運営の仕組み・評価制度・文化・コミュニケーション構造を意図的に作り直すプロセスだ。「現場で回る会社」から「組織で回る会社」への移行は、多店舗展開において必ず直面する経営課題だ。
Principle
組織変革において最も抵抗が強いのは、既存のやり方に慣れたメンバーからだ。変化は不安を生む。特に飲食店スタッフは現場での経験と感覚を大切にするため、制度や仕組みの変更に対して強い反発が起きやすい。変革を進めるには、対話・透明性・方向性の一貫性の三つが必要だ。押し付けではなく、なぜ変わるのかを繰り返し伝え続けることが唯一の方法だ。
From the Field
社内不満は今、最高潮にあると思う。理由は放任主義を貫いてきたからだ。人は変わることを嫌がる。特に飲食店スタッフは我が強いのが多い。
それを対話し、制度を整え、方向性を整えていくのがむずすぎる。正直しんどい。でもこれをやらないと会社は次のステージに行けない。
「現場で回る会社」は経営者がいないと動かない。「組織で回る会社」は仕組みが動かす。今はその移行の痛みの中にいる。痛みがあるということは、変わっているということだ。それだけは確かだ。
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